執筆当時は妊娠7ヶ月目のマタニティ筆者です。
妊娠中にアロマ(精油)は使用しても問題ないのか?について、
ネットを見ても様々な見解があり、香りに癒されたいけど‥本当に大丈夫かな?と悩むことも多いと思います。
本記事では、アロマインストラクター資格所持&オーストラリアで自然療法を学んだ経験をもとにお伝えいたします。
精油の仕組みから書いていますが、OKな精油を手っ取り早く知りたい!という方は、
目次から「3.妊娠中にOKな精油は?」に飛んでください🌟
精油の仕組みについて
まず、精油の仕組みについて簡単に説明します。
精油は、お花や葉っぱ、樹木などから、様々な方法で芳香(香り)成分を抽出したものです。
抽出された芳香成分は、基本的に化学成分で成り立っていて、1つ1つ化学的構造を持っています。
例えば、学生の時に理科の時間に習ったであろう、水=H2O、酸素=O2、二酸化炭素=CO2、、のように。
実は、この化学構造の違いによって、妊娠中でも比較的安全or避けた方が良い、との違いが生まれてきます。
なお、精油の身体への取り入れ方は大きく分けて2つあります。
1つは、呼吸によって鼻から取り入れる方法です。
鼻から取り入れられた精油の芳香成分(化学成分)は電気信号となり、自律神経を調整している脳に伝わってリラックス感を感じたり、脳から身体へ指令が出されて不調が改善される等の効果が表れます。
そしてもう1つは、オイル塗布等によって皮膚から取り入れる方法です。
皮膚から取り入れた精油の化学成分は、血管を通って全身を巡り、身体全体に作用します。
一般的に、1つ目の呼吸から取り入れる方が全身を巡る精油の濃度が薄く、もう1つの皮膚から取り入れる方が、身体の広範囲に塗布する場合が多く、結果的に身体を巡る精油の量も多くなります。
妊娠中は、軽いアロマセラピーに留めた方が良いとされており、基本的には芳香浴(鼻から香りを取り入れる)や、部分的なトリートメント(手や足だけ、お腹だけなど)を推奨します。
妊娠中に注意した方が良い精油とは?
なぜ注意した方が良いものと、問題ないものがあるのでしょうか?
上述でお伝えしましたが、それぞれの精油が持つ、化学成分の違いによって、妊娠中の使用可否がある程度わかります。
化学成分は、以下のように大きくグループ分けできます。
≪精油の化学成分グループについて≫
・テルペン類・・αピネン、リモネン、カマズレン、パチュレン など
特徴:比較的安全。鎮痙作用、殺菌消毒、抗ウィルス、抗炎症作用など
レモンやオレンジなどの柑橘系に多く入っています。
・アルコール類・・lーメントール、ゲラ二オール、リナロール、スクラレオール、フェニルエチルアルコール など
特徴:比較的安全。殺菌、消炎、抗アレルギー、女性ホルモン用作用など
ラベンダー、ペパーミント、ティーツリー、ジャーマンカモミール、クラリセージなどに入っています。
・アルデヒド類・・シトラール、シトロネラール、バニリン など
特徴:強力な抗真菌、殺菌消毒作用
メリッサ、レモングラスなどに入っています。
・ケトン類・・カンファー、ヌートカトン、メントン など
特徴:黄体ホルモン用作用、鎮痛、抗炎症作用など。毒性のある成分も一部ある。
セージ、ワームウッド、ヒソップなどに入っています。
・フェノール類・・オイゲノール など
特徴:殺菌作用、免疫力向上が期待できるが、皮膚や粘膜への刺激が強い。
タイム、オレガノ、クローブなどに入っています。
・エステル類・・酢酸ベンジル、酢酸リナリル など
特徴:鎮静、抗痙攣作用
ラベンダー、プチグレン
・オキサイド類・・1,8ーシネオール など
特徴:去痰、風邪の治療に
ユーカリ
・ラクトン類・・ベルガプテン など
特徴:鎮静作用など。神経毒性と皮膚刺激あり。
精油はこれらの成分の組み合わせによって成り立っているのです。
なお、妊娠中は、中でも「ケトン類」「フェノール類成分を多く含むもの」「強い通経作用(月経促進)のあるもの」は避けるべきとされています。
【妊娠中禁忌とされる精油の例】
タイム、セージ、クローブ、シナモン、ヒソップ、ローズマリー、ジャスミン、クラリセージ、スパイクラベンダー、ラバンジン
⚠️妊娠中、切迫早産・流産の危険性が生じた際は上記に関わらず精油の使用は中断しましょう。
上述のように「ホルモン用作用(通経作用)」や、妊娠中はお肌が弱くなるので、「毒性」「皮膚刺激」のあるものは避けるべきということになります。
また、禁忌ではないものの、ケトン類を一部的に含む精油(ペパーミントなど)に関しては、芳香浴に留め、1日の使用量を10滴以下にすることを推奨します。
妊娠中にOKな精油は?
ざっくりとしたイメージ分け
妊娠中でも使用して問題のない精油は、以下となります。
●柑橘系の精油
→スイートオレンジ、ベルガモット、レモン、グレープフルーツ、マンダリン など
(主成分にテルペン類の化学成分を持つことが多く、比較的安全とされます)
⚠️注意:柑橘系の精油は、光毒性(紫外線に反応してトラブルを起こす可能性)を持っているものが多く、
妊娠中はホルモンの影響で色素沈着しやすくなるため、外出時には皮膚に塗布しないなどの注意が必要。
●木や樹脂から抽出した精油
→フランキンセンス、サンダルウッド、ローズウッド、ホーリーフ、ベンゾイン など
(主成分にテルペン類・アルコール類の化学成分を持つことが多く、比較的安全とされます)
●作用が穏やかで優しい精油
→真正ラベンダー、プチグレン、ネロリ など
いずれも、妊娠中はトリートメントオイルの濃度は高くても1%に留め、入浴には6滴以下で使用するようにしましょう。
妊娠の時期による違い
妊娠中は身体の変化が著しく、精油の取り入れ方についても、妊娠の時期(初期、中期、後期、出産時)で変わります。
●初期(2~4ヶ月頃)
妊娠後は女性ホルモンの量が大きく変動し、身体が赤ちゃんを育てる準備をします。
その準備の過程で、特に妊娠初期は身体が順応するのに時間がかかったり、すぐに順応できずにつわりなどの様々な不調が現れます。
赤ちゃんの基盤を作るとても大切な時期のため、精油の取り扱いは慎重になる必要があるのと、つわり症状がある場合はご自身が「癒される」と感じる香りを選ぶことがとても重要になります。
※私は精油の香り全般がダメになってしまった(余計に気持ち悪くなる)ので、この時期は何も楽しめませんでした!
症状別おすすめの精油
つわり:ペパーミント、ジンジャー、ベルガモット、レモン、グレープフルーツ、スイートオレンジ、ユーカリ
リラックス:オレンジ、マンダリン、フランキンセンス、サンダルウッド、ローズウッド
※いずれも、芳香浴で様子を見ながら取り入れていただくことがおすすめです
●中期(5~7ヶ月頃)
胎盤ができ、いわゆる安定期と呼ばれる時期ですが、症状は妊婦さんによって様々です。
また、この時期から腰痛やむくみなどのマイナートラブルも増えてくるので、
体調をみながら、ご自身が不快に感じない香りを選び、ゆったりとした時間を過ごしましょう。
症状別おすすめの精油
腰痛:真正ラベンダー、サイプレス
むくみ:グレープフルーツ、サイプレス
※オイルに入れて足元をマッサージしたり、アロマバスにしたり、腰やふくらはぎ等に温湿布したりして取り入れるのがおすすめです
●後期(7カ月~臨月まで)
お腹が急激に大きくなるため、妊娠線が気になったり、胃が圧迫されて胸やけを感じることが増えます。
また、血液の量も増え、息切れや動悸が起こりやすくなったり、静脈瘤のケアが必要になることもあります。
出産に向けて、会陰ケアをするのもおすすめです。
症状別おすすめの精油
妊娠線予防:ネロリ、フランキンセンス、マンダリン、真正ラベンダー
会陰ケア:ネロリ、真正ラベンダー
静脈瘤ケア:フランキンセンス、ネロリ、サイプレス
●陣痛~出産時
お腹が張る感じが頻繁になり、出産が近づいてきます。
この時期は、スムーズに陣痛を起こせるよう、通経作用・子宮収縮を促す精油をあえて取り入れることもできます。
※取り入れるタイミング等は医師にもご相談いただいた方が安全です。
症状別おすすめの精油
陣痛誘発:ジャスミン、クラリセージ
陣痛ケア(リラックス):フランキンセンス、ローズ、ネロリ、カモミール、ゼラニウム
※気持ちが悪い時は、ペパーミント精油をルームスプレーにして芳香浴をされることもおすすめです
以上のように、妊娠の時期や症状によって、上手く精油を取り入れていただくと良いかと思います。
避けた方が良い精油についても、少し香りを嗅いでしまった、普段使っているアイテムに少し入っていたなど、少量であれば使用されても身体への影響は心配ないことがほとんどです。
必要以上に神経質にならないことが楽しめるコツですが、ご自身がリラックスできることが1番大切なため、少しでも不安があったり、気分が悪い場合は無理に精油を使用せず、身体を休めるなどほかの方法でリラックスしましょう。
妊娠中のトラブルケアにおすすめなアロマレシピは、こちらからご覧いただけます♪
また、基本的な精油の楽しみ方はこちらから♪
ぜひあわせてご覧ください。
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